創世記

創世記10章

2020年7月27日

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全ての人に与えられた約束

 

ノアの子孫の系図です。他の系図の個所と同じく、ここからも聴くことができる福音は多くありません。しかし、この個所はすべての人間は神によって造られ、また神によって祝福された洪水後の世界を生きているのだということを伝えています。全ての人間が神に応えることが可能であるということを、わたしたちはこの個所から聴くことができるのです。

ノアの息子、セム、ハム、ヤフェトの系図です。ヤフェトについての記述は三人の中で一番少なくなっています。それは、恐らくヤフェトに対する関心自体が小さいためです。注目はハムとセムに集中しています。

ハムはカナン人の祖先、また、ニムロドの祖先であると書かれています。カナン人は、イスラエルにとって敵対する存在でした。そのカナンがハムの子孫である、つまり、ノアの子孫であると記されていることは重要です。神は洪水の後、二度と人間を滅ぼすことはしないと約束されました。それはつまり、どこまでも忍耐し、人間が神に応えることを待ち続けるということです。洪水後の人間は神からの絶えることのない招きを受けています。この系図は、世界のすべての人間はノアの子孫であり、神の約束のもとにある存在だということを主張しています。カナンもまた、神とは関係なく存在するのではない。彼らもまた神によって造られ、招かれている。イスラエルはこの個所を読むとき、そのことを思い出すように求められています。

ニムロドは地上で最初の勇士となったと書かれています。彼は地上で最初の王国を築いたとあります。これがアッシリアの起源である、とイスラエルの人々は考えていました。

つまり、カナンとアッシリアという、イスラエルと敵対する存在がハムの子孫であるということがここには書かれています。そしてそれは、イスラエルの祖先であるセムの系図と同じくらいの量を使って書かれています。むしろ、10章にはイスラエルやアブラハムの名前は登場しません。ここではハムの系図にかなりの関心が向けられているのです。

32節には、「ノアの子孫である諸氏族を、民族ごとの系図にまとめると以上のようになる。地上の諸民族は洪水の後、彼らから分かれ出た」と書かれています。イスラエルと敵対する民族がいる。彼らは洪水の前からいる、神の祝福からもれた人々なのではない。また、神に造られていない、神と無関係な人間なのではない。そうではなく、地上のすべての人間は、洪水の後、ノアから分かれ出た存在なのだ。つまり、異邦人(ユダヤ人から見た外国人)も皆、「二度と滅ぼさない」という約束を受けた者なのだということを、この個所は言っています。異邦人も神から招かれ続けているのです。

この個所は単に、カナンやアッシリアといった特定の民族だけを問題にしているわけではないでしょう。ここが語ろうとしていることは、カナン人が劣っておりイスラエル民族が優れているということではありません。そうではなく、地上には神に背く人々がいる。しかし、その人々も神からの招きを受けているということです。わたしたち自身、自分が神に背いてしまうこともあるかもしれないのです。ですから、この系図を、わたしたちは常にイスラエルの立場から見ることはできないと思います。ときにはハムの系図の中に自分を置いてみることも必要かもしれません。

この地上には、神に対する人間の背きがある。しかし、その全てに対し、「耐え忍ぶ」という神の約束が与えられています。招き続けるという約束が自分にも与えられている。この約束からもれる者は一人もいない。この福音をわたしたちは聴くことができます。そして、この約束が全ての人に与えられているからこそ、わたしたちは全ての人に伝道することができるのです。

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